メトロに乗って

今週末は完全にヒッキーだったのもあって、本を3冊もむさぼり読んだ。
まだまだ読みたい本がたまってる。

さて、昨日、夕方読み始めて、寝る前までには凄い速さで
読んでしまったのが浅田次郎の「メトロに乗って」。
友達から再三勧められていたにも拘らず、今頃になってやっと手をつけた。

こんなに面白い小説に久々に読んだ。
まさにページを繰る手が止まらなかったし、
浅田次郎の小説にはよくあるように、読んでる要所要所で
思わずすっくと立ち止まってしまう。
ぶわぁっと身体中の鳥肌が立つ。
知らぬ間に目頭が熱くなる。
う~ん、やっぱ凄い力量だなぁ。

「メトロ~」の中に出てくる壮絶な親と子のぶつかりあい。
大人になって初めて理解できるようになる、かつての親の心境。
思っていても、それが思うように素直には口に出来なくなる年齢。
複雑に絡みあった家庭内の血の事情。
口に出来ない分、嗚咽になってもれてくる悲痛な叫び。
それらを見事なまでに、メトロというツールを通して表現している。

現代を生きていて、無機質な箱にしか思えない、地下鉄。
毎朝、ダルい顔をした大量の通勤者を乗せて、地下鉄は走り続ける。
でも、浅田次郎のさらりとしていて、同時に凝った演出によって、
メトロという無機質な金属の塊が、温かみのある乗り物にかわる。
人々の様々な想いを乗せて、それは時に時代間をも通り抜けて、
時には、生暖かい、地下から吹き上げる風によって
堅くとざされた人間の傷のかさぶたを一枚一枚はがしていくように、
人の心を開いてチャネルとなる。
人の心を通じさせる。

この物語は、最終的には、よくありがちな「ハッピーエンド」に
もっていかれるわけではない。というか、物語の前提自体がハッピーエンドには
なりえないんだろうけど。
でも、その分、綿密に描かれた登場人物ひとりひとりの想いに
私も想いをはせることが出来るし、
人間の弱さとか、強さとか、そんなところまでを全部ひっくるんだ、
メトロのあったかい風が私の心にも吹き抜けてる感じ。
読み終わって、時間がたてばたつほど、ジワジワと心に浸透してくる。

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